2012年10月2日火曜日
『へルタースケルター』
今さら読みました。
なにげに、岡崎京子先生の作品を読むのは初。
文句なく、面白かった。
これが、岡崎京子か…
という感慨もあった。
とかく、作家性の強い作品である。
凄まじい整形で作られたカリスマタレント・リリコの、獰猛で、背徳的で、ぐっちゃぐっちゃで、完全にアウトな生き様。
嘘は、より大きな嘘を生む。
芸能という虚構の中で、嘘に嘘を重ねてできあがる1人のタレントは、バランスを失う。
変態的なセックス、麻薬、整形。
肯定するわけではないが、ねじれたアンバランスが不思議と美しい。
そんな作品。
美しいモノは醜く、醜いモノは美しい。
そして、邪悪な個人よりも恐ろしいのは、善良なる大衆。
虫も殺さぬ顔をして、あらゆるものを飲み込む欲望のブラックホール。
人1人の人生や感情や大切にしているもの、そんなものは何の逡巡もなく、一瞬のうちに吸い込み、消費し、捨てていく。
何の罪悪感もなく…
巨大なシロナガスクジラが口を開け、大量のプランクトンを摂食するかのごとく…
映画は見ていないけれど、主演は沢尻エリカ。
確かに、原作を読む限りこれ以上ないキャスティングだと思う。
彼女もまた、世間を騒がせたけれど、主導権は彼女にあるようでなかった。
大衆に、ただ消費されただけ。
映画、見たい。
沢尻のおっぱいが見たい。
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