2012年6月4日月曜日

ドーハの悲劇で思い出す『松永成立物語』

昨日、サッカー日本代表戦の前に、6時くらいから延々日本代表の歴史をやっていた。
その中で当然、日本サッカー史に残る最大の悲劇として「ドーハの悲劇」の映像が流れた。
僕が高校生のときのことで、もう何度も見て頭に焼き付いている映像。
史上初のW杯出場をほぼ手中にしたイラク戦ロスタイムのラストワンプレー、ショートコーナーから上がったセンタリング、イラクのFWが合せたヘディングは、ゆるやかな放物線を描き日本ゴールへと吸い込まれる。
その一瞬が、日本中を天国から地獄へと突き落とした。
決して、突き刺さるような見事なシュートだったわけではない。
半ばループシュートのようなその軌跡を、当時の守護神・松永成立は飛びつくことができず、見送った。
なんとか、反応して触れなかったものか?
そう、思わなくもない。

実は、この時のことを描いた漫画がある。
『オフサイド』や『Jドリーム』で知られる塀内夏子先生が描いた『松永成立物語』である。
GK松永成立を取材したドキュメント漫画なのだが、作者はこの「ドーハの悲劇」の一瞬について松永に尋ねているのだ。
「あの時、飛べなかったのか?」と…
ラストは、それに対する松永の答えでシメられるのだが、僕はこのラストが大好きだ。
あらゆる漫画のラストの中で、最も印象深いラストシーンかもしれない。

松永は答える
「飛べるものなら飛んでいました。
 だって、夢が目の前にあったんですよ。
 夢なんて消えていくまで1秒もかからなかった。」

Jドリーム飛翔編10巻に収録

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