2012年3月19日月曜日

スピリッツ15号

しばらく仕事超多忙モードで更新が遅れてしまった。
その間に読んだ漫画たちのことなんぞを…

『明日のない空』
青春スポーツ漫画を描かせたら右に出るものはいない、と僕が思っている塀内夏子先生の不定期連載作。
定時制高校に通う才谷駿と古賀毅(通称ガッツ)のハンドボールに賭ける青春と友情を描く。
塀内先生の作品は、影を描くのがうまい。
勝利と栄光の歓喜も描くけれど、それ以上に挫折の苦み、涙のしょっぱさ、無力感や絶望、そういった影を丁寧に描く。
青春ははかなく、切なく、思い通りにならないもの。
だからこそかけがえがなく、まぶしく輝くのだと…よくわかっている。

この作品は、そんな塀内作品の中でも最もディープに「影」が描かれている。
主人公の才谷駿は、一家無理心中の生き残り。
父と弟、妹をその事件で失い、ともに暮らす母は精神を病んでいる。
昼は町工場で働きながら定時制に通う。工場の月給は12万ちょっと…。
その幼なじみ古賀毅(ガッツ)は父が働かず、しっかり者の姉・瑤子に支えられている。

己の力だけではどうしようもない大きな壁ばかり。
押しつぶされそうな現実の中で毎日を生きる2人が、唯一、現実を忘れられるのが部活のハンドボールの時間。
ただの練習試合で彼らは生き生きと躍動し、その時間だけはガッツは誰よりも高く飛べる。
この辺、「明日のない空」というタイトルのつけ方は実に秀逸。
全く、勝利・栄光を目指すわけではないスポーツ漫画。
それは、実は最もスポーツの力を信じた漫画といえるかもしれない。

ここから10話が最終章だそう。
ガッツは日本代表合宿に呼ばれた。
どういうエンディングを迎えるのか、非常に楽しみ。

 

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