2012年3月26日月曜日

『HUNTER×HUNTER』1〜5巻

休載が長過ぎるし、汚いネームみたいな絵載せて「単行本で直します」みたいなこと平気で書くし、冨樫先生の連載姿勢は正直嫌い。
だから、ジャンプで読むのはとっくの昔にやめているのだが、連載姿勢と漫画の才能や作品の面白さはまた別のこと。
そう、思い直してちゃんと単行本で頭から読むことにした。

読むと…面白いね、相当。

連載のテンポは悪いけど、話のテンポはすごくイイし、なにより登場キャラクターが敵も味方もいいヤツも悪いヤツもみんな愛せる。
いい意味での軽さがあって、すごくゲームっぽい漫画。
それが冨樫先生の魅力でもあるわけで、我々、ジャンプ黄金世代、ゲーム黄金世代にとっては非常にここちよい。

冨樫先生は、何が凄いかというと「記号化」の能力がスゴい。
まず、個性的でキャラクターのたった登場人物達。
しかし、キャラクターが立つというのは、その性格をシンプルにし極端化しているということ。テレビでオリラジ藤森が「チャラいキャラ」を確立しているが、これこそが「記号化」
冨樫先生はこういうキャラクターの記号化がウマい。
クラピカの「クルタ族の生き残り」とかキルアの「暗殺一家の息子」とか記号化以外の何ものでもない。
そして、戦闘。
戦闘力の多寡の競い合いに時間を費やすことがまずない。
戦闘力がどちらが高いか、それは一瞬にしてわからせ、あとは局面を変える行動だけを描く。
読者に展開と意味をわかりやすく見せるシーンとセリフだけを記号的に展開させた戦闘になっているため、非常にテンポがよく見やすい。
ストーリー全体もそう。
かなり意味のあるシーンだけを印象づけながらつむいでいくため、少ないコマ数で濃密な展開となっていく。
あと、中途半端なことを一切しない。
強いヤツはハンパなく強く見せるし、弱いヤツは瞬殺される。
金持ちはハンパなく金持ちだし、悪いヤツは人間らしい心なんぞもっていない。
これも、極端化による記号化である。

「記号化」というと味気なくつまらないもののように聞こえるがそうではない。
これは、伝達力を上げるための方法であり、冨樫先生がそれだけ読者に伝えるということに向きあっている漫画家だということである。

まあ、本当に読者のことを思うなら、連載スピードあげてよ…ってのはあるけどね。



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