2012年1月29日日曜日

『悪の華』1〜4巻

各所で話題の『悪の華』最新刊5巻が出たようですが、その前に1〜4巻まで一気読み。

ボードレールを愛する文学少年 春日高夫は、ある日密かに想っていた佐伯奈々子の体操服を盗んでしまい、その場面を同級生の仲村佐和に見られてしまう。
弱みを握られた春日は、仲村に「盗んだ体操服を下に来て佐伯とデートしろ」など、様々なド変態要求をつきつけられる。
そして、徐々に仲村に惹かれ始める春日は、たびたびド変態暴走モードに突入し、女生徒全員のパンツを盗んだり、もはや性犯罪者の域に。
「このクソムシが!」「ズブズブのド変態でしょ!」
など常軌を逸した罵倒の言葉が実に印象深く、グッサグサ刺さってきます。

思春期特有の出口の無いドロドロとした鬱屈と仲村、春日の変態っぷりにゾクゾクしながら読む漫画。
これきっと、作者自身がド変態です。
ド変態キャラの漫画を描けば、人気でて売れるんじゃないか?みたいな商業的動機で描いているというよりも(もちろんゼロではないでしょうけど)、思いっきり自分のズブズブの変態性をさらけ出したいという、私小説家的自己顕示欲求&性的欲求に基づいて、極めて真摯に描かれている気がします。
作者の押見修造先生自身が、影響を受けた作品に喜国雅彦先生の『月光の囁き』をあげていることからも間違いないでしょう。(『月光の囁き』も“性癖”に真摯に取り組んだ名作。)

これは、変態から世間様へのアプローチです。

なんて言うと「人間はみんな変態だよ」みたいな一般論がありますけど、ここでいう「変態」はそういううわべのファッション変態とは一線を画しています。
自分の奥の奥からわきあがる凶暴な獣のような変態性。
良識ある人間なら保つべき「倫理」を食い破り、自分を犯罪者へと落としかねない制御不能の獣。(現に、春日くんも体操服やパンツを盗んだ犯罪者である)
押見先生は、そんな自分の飼う変態獣と対話しながら描いているのでしょう。
違ったら、ごめんなさい。

でも、正直、自分もあっち側の人間だから、わかります。



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