2012年5月3日木曜日
狂気の怪作!『ドリフターズ』
この荒唐無稽を楽しむべし!!
織田信長、那須与一、島津豊久、源義経、ジャンヌダルクなどなど、歴史上の人物達が異世界に飛ばされて来て、そこで大乱闘。
「もしも、歴史上の人物が同じ時代で闘ったら」って妄想をそのまま漫画にしたという…
飛ばされて来たヤツらは「漂流物(ドリフターズ)」と「廃棄物(エンズ)」ってのに別れるのだが、このネーミングセンスも凄い。
「者」じゃなくて「物」だからね。
ぶっ飛んだ設定だが、ぶっ飛んでるが故に、世界観はかなり強固に確立されている。
この漫画を一言で語るなら、「織田信長」が、主人公である「島津豊久」を評したある言葉がそのまま当てはまるだろう。
信長は言う
「こやつやはり生まれながらの武将だ
大名ではなく乱世の武将に必要な能力
人を戦に駆り立てる能力
『狂奔(きょうほん)』」
そう、作者・平野耕太が『狂(くる)』い『奔(はし)』り、描き殴ったかのような作品なのだ。
平野先生は、相当楽しんで、ノって描いてると思われる。
ガンガンド迫力にぶった切る戦闘シーンだとか…
ハイテンポでギャグっぽい会話とか…
現代語と薩摩なまりの超適当なミックス加減とか…
セリフも絵も「ノリでいっちゃえよ」みたいな所が節々に見られ、それが作品に思いがけぬ緩急を生み、構成されすぎない魅力を醸し出している。
とにかく、面白えってこと。
そして、すごくセンスを感じるのは、織田信長を脇役にしたことである。
主人公は関ヶ原の戦いで討ち死にした島津豊久。
信長は、この世界で島津を王にするサポーター役に徹しようとする。
「後ろで糸ひいてる黒幕の方がいいんだ!」などと言うが、これは凡人の織田信長 観ではなかなかできない発想だ。
それでいながら、六天魔王と呼ばれた信長の凄みと底の深さも描いている。
50歳、明智光秀に謀反で殺された記憶を持った信長は、こう進化したのかもしれないという1つの新解釈、これがこの作品をただごとではないものにしている。
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